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終わりはいつだって悲しい。でも、私たちには「いま」が広がっている

今夜もお酒を飲みながら

ふらっと入った酒場。そこにはひとりの女性がいた。

飲み干したら、慣れた感じで次の酒を頼む彼女。

アルコールを体に補充しながら、何を考え、迷い、想っているのだろう。

ひとり飲みをしている彼女らの脳内にちょっとお邪魔してみましょう…。

渋谷、17:23。

チューハイを飲みながら、私は「終わりと始まり」について考えていた。

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写真/gettyimages

急遽、1本取材が延期になったので当てもなくマークシティ裏をぶらぶら歩いていたところ、あの吉田類も訪れたという、創業40年以上の老舗酒場「多古菊」にぶち当たった。

赤い看板に「多古菊」の文字がででんっと主張する、なんとまあ、素晴らしい店構え。

「いやいや、でもこんな時間から飲んでは」と、必死で我を取り戻そうとするものの、軒先からは美味しそうなおでんの温かい香りがふんわりと漂う。

葛藤しつつ2往復した結果、青空の下にずっと照らされていた洗濯物のようにぽかぽかした笑顔の女将さんの「いらっしゃい」に吸い寄せられるように入店してしまった。

あーあ。飲兵衛はこれだからいけない。

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写真/gettyimages

お店のカウンターの中央に備え付けてあるテレビからは大相撲が流れていて、常連のおじいさんが「最近の相撲はつまらなくなったねえ」なんて悪態をついている。

ふん、ともすん、とも取れない相槌を打つ女将さん。

私の隣席にはキャリアウーマン風の女性。PCとにらめっこしながらレモンサワーをぐびり。いい飲みっぷり。

290円のチューハイを頼み、黄色い短冊にでかでかと書かれた「しめさば」の文字をぼんやり眺めつつ、「はてさて、今週の『今夜もお酒を飲みながら』は何を書こうかな」と思考を巡らす。

そうやって考えるのも、今日で「終わり」なのだ。「終わり」はどんなときも悲しい。チューハイは、やたらと濃い。寂寥感が私を襲う。

***

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写真/gettyimages

2年前のいまごろは、夕方17時にこんな場所でひとり酒を飲んでいるなんて予想だにしていなかった。こともあろうにホワイトデーに、だ。

フリーランスのライターになる前の私は、ごくごくフツウの会社員だった。

満員電車に揺られながら週5で通勤し、たまに取得する有給とボーナスに胸を高鳴らせ、理不尽を肴に同僚と酒を飲み交わした

仕事終わりは家の近所の小さなスーパーに立ち寄って、入籍予定の恋人の帰りを待ちながら夕食を作った。

夕食が完成した写真を送ると、やさしい恋人はいつだって「美味しそうだね」「楽しみだなあ」「今日はお土産を買って帰るね」なんて思わずふふふと笑みがこぼれるような返信をくれた。

周りからは「お似合いのカップル」と称されていたし、それを誇りに思っていた。

休日は、仲良しの友人とハメを外した。

「20代ももうすぐ終わるし、いまのうちにたくさん遊んでおこう」「まりなも来年には結婚かあ。でもこうやって定期的に会おうね」なんて言いながら、朝まで飲み明かすこともあったし、誕生日には定期的にお祝いをした。

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写真/gettyimages

すべてが、順風満帆なはずだった。でも、とっくのとうにわかっていた。すべてにおいて、私は少しずつ嘘を重ねていたことを。

本音なんて言いたくない。言わずに済むなら、何ひとつ本当のことは言わず、へらへら笑って過ごしたい。心の底からそう思っていた。

本当は、昔からの夢だった文章を書きたい。本当は、お互いずっとすれ違っている。本当は、バカみたいにハメを外して過ごす日々なんて長くは続かないって思ってる。本当は、本当は、本当は。

その全部に蓋をして、へらへらと笑っていた。そうしたら、いつか本当も嘘もごちゃまぜになって、わからなくなって、大丈夫になる気がしていた

でも、うまくいかなかった。小さな嘘を積み重ねる毎日は少しずつ破綻をきたし、緩やかに崩れていった。

結果、私はすべてを失った。いや、自らの手ですべてを「終えた」と言った方が正しいのかもしれない。

***

いまになれば、手放した日々は麩菓子のように頼りなく、どこまでも軽い。"はずだった"いくつもの日々たち。

「終わり」はいつだってあっけない。永遠も絶対もない。けれど、「いま」だけはぶわあと目の前に広がっている

アラサー、独身、仕事と酒が恋人。ひとりで黙々と続ける仕事だから、たまに、孤独で泣きそうになるときもある。

でも、小学生のころからの夢だった文章を書くことを生業にしている「いま」は、どんな過去よりもしあわせで、無敵な気がする。

だから、今夜もお酒を飲みながら、私は懲りずに文章を綴る。

本当に続けたい日々が、続いていくように。目の前のあなたに、届きますように。

>>連載「今夜もお酒を飲みながら」を読む

ふつかよいのタカハシ

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