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彼の涙を見たバレンタインの夜。どうか私を嫌いにならないで #終電と私

終電と私

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写真/gettyimages

0時が近づくにつれて、街の人々は「終電」が気になりだす。

帰ろうか、残ろうか。時計を見ながら正解を考える。甘酸っぱい思い出も、切なく悲しいできごとも、思えば全部「終電」がきっかけだった。

そんな、誰もがひとつは持っている終電にまつわる物語「#終電と私」を集めてみました。

恋人たちのためのイベントにあまり興味がない。

2月14日、恋人へ用意したのは実家暮らしゆえに避けられない父と弟へのお菓子の余り。せめてもと見た目のきれいなものを選ぶ。

彼の家へ向かう途中、私の食べたいチョコレートを独断で買った

一緒に、というより私が大体を食べる。彼はいつもよりちょっといい珈琲を用意してくれていた。

バレンタインはこれで終わり。ホワイトデーなんていらない。順番に愛を投げ合うよりふたりで作りたい

今日のふたりで過ごせる時間は私の仕事が終わり、彼が終電で出勤するまで。

彼はバーで働いている。生活のため、本当にやりたいこととは別に。

ご飯を作って、映画を流しながらチョコレートまで食べる。最近の出来事を少し話しただけで日付を越えてしまった。会うのは久しぶりなのに。

私も一緒に家を出るのは、彼の部屋にひとりなんて嫌だから。

名残惜しいけどふたりで歩く夜道は好きだ。

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写真/gettyimages

駅の改札を通る。「春なんて本当に来るの」、疑いたくなるほど寒い夜。

「来る来る。君の誕生日もすぐそこ」。

1年の始めに手帳と、誕生日に彼の好きな本をもらう以外に物はいらないと伝えてある。毎年そう。プレゼントにもあまり興味がない。欲しいものはもっとほかにある

「スマホどこやったっけ」

焦る声が聞こえた。いつものことだと思い返事をする。

「どうせまたコートかバッグのポケットでしょ」

「ない」

「バッグの中身、ひっくり返しな」

ホームのベンチにバッグの中身を出していく。

財布、本、ボールペン。職場で食べると持ってきた、私の作ったクッキー。

順に積んでいくに連れ、彼の心で何かが順に崩れていく様子が見えた。久しぶりだった。

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写真/gettyimages

このところ彼が忙しくしているのは知っていた。段々と心の余裕を失っていることも。そこから連れ出す時間すらなかった。

「息抜きを上手くやって。息抜きができない人にいいものなんて作れない」

しつこく言っていたのに。

それでも、これだけ極端に言っても、息が抜けないのが彼の欠点だった。心身ともに自分を追い詰めてしまう。

大事なのはいま、いま、いま。先のことを考えるのは私だけ。

スマートフォンは見つからなかった。きっと家に置いてきたのだろう。取りに行く時間はない。

「せっかく…ごめん」

言葉が出てこない彼の目に涙が溜まっている。

ダムの決壊だ。

できることがあるならばなんでもしたかった。

私にできたことは「大丈夫」と言って抱き締めることと、マフラーを貸すことだけ。風邪を引かないでほしかった。

それ以上に、決壊した心のまま何もかも、私のことまで嫌になってしまうのが怖かった。マフラーを貸せば会う口実が生まれる。

黙って私の前からいなくなることはきっと防げる。そう思ってのことだった。

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写真/gettyimages

終電に乗る彼を見送る。

どうか消えないで、いなくならないで。そう願わずにはいられない危うさをときどき見せる、弱くてやさしい彼。

私も終電に乗り込み最寄り駅で降りる。少し泣きたくなって、逃げるようにトイレに向かった。

終電。

もうこの駅の改札を通り抜け街へ出るしかない時間。

そういう時間の駅構内、トイレの大きな鏡の前でメイクを直す女の子がひとり。彼女はこれから誰かに会うのだろう。誰かのためにメイクを直しているのだろう。

それを横目に、私はよれたメイクのままそこをあとにした。改札を出た先に待っている人などいないから。

後ろからぱたぱたと、その女の子が走ってくる。私を追い越して改札を抜けたら、部屋着にコートを着た彼のもとへ。

私はまた願ってしまう。

どうか、どうか。彼女の心に祈った。

帰る選択をやめた彼女の夜が、泣きたくなるようなものになりませんように

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koharu
記録癖がある、珈琲を飲む
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