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日本で「ぽっちゃり」が流行った時代があった。切実にタイムスリップしたい

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写真/gettyimages

痩せたい

多くの女性がこの切実な願いを胸に、ろくに食べずに健康を損ねたり、いきなりきつい運動を始めて心も体も消耗したりしています。

これぞまさに"痩せ我慢"(本当の意味は違うけど)。

もはや、「細い女がきれい」という世のなかを覆う価値観が忌まわしく思えることさえあります。

ところが歴史をさかのぼると、いつの時代も「スリム = 美」だったわけではないようなのです。

ぽっちゃりというか肥満気味。豊満ボディが流行った時代があった

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写真/gettyimages

ときは聖徳太子(厩戸王)が生きたとされる飛鳥時代。

なんと宮廷の女性たちは、ぽっちゃりした顔に憧れていたのだそう。

顔をふっくら大きく見せるために、チークには黄赤というオレンジ色よりも赤みが強めな膨張色を使っていました。

いまなら少しでも顔がむくむものなら「あぁぁ太って見えちゃう!」と大慌てし、小顔メイクやマッサージに励むところなのに、えらい違いです。

この時代、どうしてぽっちゃりが流行っていたかというと、憧れの的だった当時の中国・唐で「ふっくら体型 = 美」とされ、ファッションリーダー的存在だった楊貴妃もふくよか体型だったから。

世界三大美女のひとりの楊貴妃は、イメージイラストなどではスリムに描かれがちですが、じつは豊満ボディだったようです。

当時の中国の絵にも、丸々とした顔に、腰を帯で締めないゆったりした服を着た、豊満な(というより、むしろ肥満気味な)美女が多く描かれています。

現代で言えば、女性誌にいまをときめくモデルが並ぶような感じでしょうか。

「これがいまのスタイルだ!」と言わんばかりです。

この流行、日本では次の時代にも持ち越され、奈良時代もぽっちゃりがモテたのだとか。

ちなみにアジアだけでなく、ヨーロッパでも15~18世紀ごろには、むっちりレディが「肉付きいいね!」ともてはやされ、市民権を獲得していたそうですよ。

この時代に行かせてよ、ドラえもぉぉ~ん…。

流行よ、さらば。廃れゆくぽっちゃり礼賛時代

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写真/gettyimages

しかし、人の世は移り変わるもの。この素晴らしき時代は長く続きませんでした。

中国で唐が滅び、混乱を経て新しい王朝・宋の時代になると、絵に描かれる美女は軒並みほっそりとした人に変化。

つまり、ぽっちゃりブームが衰退してしまったようなのです。

中国での流行終了に影響されたのか、日本でも平安時代に書かれた『源氏物語』で細身の人を褒める描写があり、「んん!? ぽっちゃりになりたかったんじゃないの!?」とツッコミたくなるほど。

ヨーロッパでも19世紀末には「細い娘、いいよね!」という価値観に取って代わられ、今日までスリム至上主義が続いています。

流行って呆気ない…。

ブーム再来に期待! でも自分の魅力も大事にしたい

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写真/gettyimages

流行は繰り返すものでもあります。

ちょっと大袈裟ですが、もしかしたらひょんなことから「余ってるお肉、セクシーだよね」とか「脂肪は裏切らない」とか、そんな価値観の時代がくるかもしれません。

ぽっちゃりブームの再来にぜひ期待したいところ。

ですが、もし本当に再流行したとしてもけっこう考えものです。

結局は「私はあの娘よりお肉が足りない」「もっと顔を広く見せなきゃ」という、いまと正反対の呪いにかかってしまうかもしれないからです。

これはこれで悩みの本質が変わっていないので、なんだかイヤ…。

やはり、人はないものねだり。

痩せていても太っていても変わらない、自分ならではの魅力を押し出し、胸を張って生きたいものです。

楊貴妃だってふっくらボディだけではなく、知的で歌も踊りもうまくて、お肌ツヤツヤで、いつもいい匂いがしたという、いろんな魅力を合わせ持っていたからこそ、ときの皇帝の心をがっちり掴んだわけなのですから。

五十嵐綾子さん

五十嵐綾子
フリーランス編集・ライター。歴史や文化をメインテーマに主にウェブメディアで執筆中。書籍・雑誌も時々執筆。世界遺産検定1級と学芸員資格持ってます。日々勉強です。
Twitter:@igacham

五十嵐綾子

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