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「帰りたくない」唯一無二の男友だちに言った夜 #終電と私

終電と私

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写真/gettyimages

0時が近づくにつれて、街の人々は「終電」が気になりだす。

帰ろうか、残ろうか。時計を見ながら正解を考える。甘酸っぱい思い出も、切なく悲しいできごとも、思えば全部「終電」がきっかけだった。

そんな、誰もがひとつは持っている終電にまつわる物語「#終電と私」を集めてみました。

「帰りたくない」

そう言った直後に私は後悔した。何か始まったらどうしようと。

彼は学生時代から続く唯一無二の男友だちで、私が「帰りたくない」と言ったのは、安い缶チューハイのトゲトゲとしたアルコールのせいで体が鉛のように重たかったからだ。

ここから自宅まで1時間近くかけて電車で帰るなんて面倒くさくてたまらなかった。

それだけだった。

ルーティンワーク化した男との体関係

人生で、初めてのキスは「こんなものか」という感想。

初めてのセックスは「痛いし気持ちよくないし何も満たされない」という感想。

それは、どれだけ回数を重ねても、とくに変わらなかった。

そのくせ私は、毎夜マッチングアプリやナンパで知り合った男性と酒を飲み、終電を逃し、ホテルに行き、気持ちよくないセックスを続けていた。

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写真/gettyimages

最初は刺激的だったはずの流れも、いつしかルーティンワークと化していて、無駄に道玄坂のホテルにくわしくなった。社会人になってもそれは続いた。

気持ちよくないセックスは、つまりは苛立って壁に拳をぶつけたり、むしゃくしゃして髪を引っ張ったり、それに類する自傷行為でしかなかった。

初対面の男との自傷行為のあとは目がさえて寝付けず、無駄に広いベッドの上でヒリヒリと痛む下半身を持て余し、天井をぼんやりと眺めながら朝を待った。

私はずっと私のことが嫌いで、だからそういう夜のほうがお似合いだと思っていた。

恋愛関係にはならない大好きな男友だち

大学時代から続く友だちは、卒業してからも気が向いたときに会っては、とりとめのない話をして酒を飲んだ。

人付き合いが苦手で誰かといるだけで疲れてしまう私は、彼と飲んだあとは元気になっているのが不思議だった。

漫画も小説も音楽も映画も、私よりずっとくわしくて、でもそれを驕らなくて、話を聞くのが上手で、シャイだけど自分の言葉で話す人だった。

性別は同じでも、ほかのつまらない男とは別の生き物みたいだった。

私は彼のことが大好きだけど、恋愛関係になるのは想像できなかったし、私と彼は不自然なくらいお互いの恋愛の話をしなかった。

「終電、大丈夫?」と言われて「帰りたくない」と言ったら、彼は少し表情をかたくした気がしたけど、すぐに「じゃあ、泊まってく?」と返してくれた。

「うん」と言った自分の声が、思いの外ぎこちなくて、少し脈が早くなる。

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写真/gettyimages

「床で寝るよ」という私に「いや、ベッドで寝なよ」と言いながら、彼も同じシングルベッドに入ってきて「一緒に寝るのか」とまた動揺した。

ひとつしか枕がなかったから、私がサッと奪ったら、彼が「おい」と言って取り返そうとしてきた。

私は目の横に無防備に横たわるお腹を、指先でくすぐる。

彼はビクッとなりながら、いたずらっぽい笑顔で「おい!」と言って、やり返してきた。

彼の笑顔は本当にかわいい。

ベッドはガタガタと揺れていたが、上でおこなわれているのは小学生のようなじゃれあいだった。

私と彼はもう立派な社会人で、終電を逃したらホテルに行くことを選択できるくらいの収入がある。

たとえばそんなおふざけから少しずつ手をずらして下半身にもっていくことも、当然予測できるくらいには経験を重ねていたはずだった。

私と彼は、ひとしきりベッドの上でくすぐり合戦をして、疲れて、そのまま寝てしまった。

いつもとは違う狭いベッドの上で、男の子とふたり。

触れるか触れないかくらいの距離で、私は気がつけば深い眠りに落ちていた。

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写真/gettyimages

朝、自然と目を覚ましながら、私は異性とともにするベッドの上でも熟睡できるのだ、ということをその歳でようやく知ることになった。

というか、そもそも、私は彼を異性として想っているのだろうか。

離れたくはないし、誰かに取られたくもないけど、セックスはしたくない。

私の願望ばっかりだ。

この関係性って、どういう位置づけになるのだろう。いちいち名付けるのは無粋な気がして、私は考えるのをやめた。

晴れ晴れとした青空の下で、じゃあねと言って彼の家をあとにする。

終電を逃した夜の翌朝が、こんなに気持ちのいいものだとは、と驚きながら。

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園田菜々
記事を書く仕事をしています。今は雄のハリネズミに恋している。
Twitter:@osono__na7

>>連載「終電と私」を読む

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