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深夜のタクシーは闇を振り切って走る。どこにだって行けそうな気がした #終電と私

終電と私

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0時が近づくにつれて、街の人々は「終電」が気になりだす。

帰ろうか、残ろうか。時計を見ながら正解を考える。甘酸っぱい思い出も、切なく悲しいできごとも、思えば全部「終電」がきっかけだった。

そんな、誰もがひとつは持っている終電にまつわる物語を集めてみました。

大学時代は、終電をすっ飛ばしていた。

1次会、2次会とハシゴして、てんでデタラメなことを喚きながら道いっぱいに広がり、サークルの仲間とともに歌広場に向かった夜。

真っ赤なルージュをひと塗りして、女友だちと目配せしながら渋谷の街に繰り出した夜。

たいていの場合「終電」という言葉は目安にしかすぎず、まっすぐ家に帰る気など毛頭なかった私たちは「ああ、もう終電ないね」のひと言で夜を幾度も引き延ばした。

どんなときだってそんな夜が続いていて、永遠に朝なんて来ない気がした。

***

いつしか年を重ねて、大学生だった彼ら、彼女らは然るべき「大人」になった。

私もそれに倣うように眠い目をこすりながら起床し、満員電車に揺られ、車窓からときたまのぞくビルの等間隔に並んだ四角い窓ガラスを眺めながら、会社と自宅を往復する毎日をやり過ごした。

そんな風に周りと足並みをそろえていれば、きちんと大人になれるような気がしていた。

でも、心のなかではずっと「この電車が飛行機の搭乗口までひと続きになっていたらいいのに」「どこか遠くに飛び立てればいいのに」なんて思い続けていた。

その想いがある日、堰を切ったように爆発し、私は会社を辞めた。

先の見通しはまるで立っていなかったけれど、小学生のころから大好きだった文章を書いて生計を立てることを決めた。

「好きなことをして好きなように生きる」

その思いつきは、とても甘美なことのように思えた。

その反面、ものすごく不安だった。決めたのは自分以外の誰でもないのに、何だか宙ぶらりんで、孤独を感じていたのだ。

***

そんな気持ちを吹き飛ばしてくれるのは私の場合「酒」だったので、ある日ひとりでしこたま酒を飲んだ。

案の定、酔っ払ってヨレヨレになりながらも、「帰らねばならぬ」という確固たる意志を持ち、えいやっと終電に乗り込んだ。

随分飲んだから寝てしまいそうだ。あくびが止まらない。座席に腰掛け、目を瞑ったのが運のツキだった。

「戻る電車はございませんので、お乗り過ごしのないようご注意ください」

車掌のアナウンスで、はっと目が覚めた。眠りこけてしまっていたようだ。ここはどこだろう。いつの間にか、見知らぬ駅に到着していた。

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ほどなくしてワンメーターで地元駅まで帰れる場所だということが判明し、タクシーに乗り込んだ。

車窓から見える夜景はごくごく普通なのに心なしかきらきらと眩しく、時折現れる夜の闇を振り切るように、走る世界ごとすべて私だけのもののような気がして恍惚とした。

そのとき、ぼんやりとタクシーに揺られながら、車掌のアナウンスを思い返していた。

「戻る電車はございませんので、お乗り過ごしのないようご注意ください」

終電車の停車駅は明確に定められていて、乗り過ごしたらもと来た場所に帰れなくなってしまう気がする。

けれど、戻る電車がなければ、こうして別の方法を使うこともできる。

だから、たまには乗り過ごしちゃうのも、アリかもしれない。

遠回りしても、いままで気づかなかった景色に出会えて楽しいから。終電を乗り過ごした先に、どこにだって行けそうな未来を見られるから。

>>連載「終電と私」を読む

写真/gettyimages

ふつかよいのタカハシ

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