マイノリティ──。
「社会的少数派」の意。 「社会的弱者」として言い換えられることもある。
当連載では、自身もマイノリティの立場であるライター・おつねが、マイノリティを描く映画を通して、見解を語っていきます。
『0.5ミリ』(2014年公開)
安藤サクラが演じるのは、介護ヘルパーの山岸サワ。
サワはある日、介護をしていた老人・昭三の娘から、「冥途の土産に、一晩おじいちゃんと寝てほしい」という依頼を受ける。サワは添い寝するだけ、という条件で了承するも、予期せぬ大事件に巻き込まれてしまう。
結局、規定違反がバレて会社をクビになり、家なし、お金なしになってしまったサワは、さまざまな街で見つけたワケあり老人につけ込み、押しかけヘルパーを始めるのだった ── 。
主演は大好きな安藤サクラさん、監督・脚本は姉の安藤桃子さんの姉妹合作と聞いて、すぐに映画館まで走って観に行った。
197分という滅多にない上映時間も一瞬のように感じられるようなパワーを持った作品だった。
作中で描かれる要介護の老人たちに共感した
本作は主に4部構成になっている。
主人公のサワが事件に巻き込まれるところから始まり、さまざまな人々に出会いお世話をしていくという流れになっているんだけど、その人たちがすごく社会風刺が効いているなって印象を受けた。
サワが出会う人たちは、みんな介護されるような年齢ばかり。だから、一見すると、私みたいな20代とか30代の人たちは共感できないんじゃないかなって思うんだけど、ぜんぜん違った。
ひとりぼっちの人生がイヤでどうにかして他人とのつながりが欲しいのに、素直になれずに苦しんでいる人。
社会から、人から必要とされている実感を得られなくて、そのことを認められなくて苦しんでいる人。
そんな、人とのつながりが薄くなってきている世のなかで誰が陥ってもおかしくないシチュエーションを、「介護」という日本が抱える問題と絡めながら、分かりやすく描いている。
友だちが言った「まーいいんじゃない?」に救われた
私の場合、まだ地元の長崎にいたころに「自分が人とは違うセクシャリティなのかもしれない」って思い始めたときに、とっても不安で怖い気持ちになったことを覚えてる。
「きっと一時的なものだから大人になれば普通になれるはず」
「普通にならないと周りの人たちに気持ち悪いと思われてしまう」
こんな気持ちを抱えながら中学高校時代を過ごしてきた。
そんな気持ちに押しつぶされそうになったときに、唯一相談した友だちが言ったのが「まーいいんじゃない?」のひと言。
こんな些細なひと言で、私は「あ、私ってこのままでも大丈夫なんだ」っていままで苦しめられていたものたちから解放された。
0.5ミリでいいから他人を信用してみる
生きていると自分だけではどうしようもできないような悩みごとが生まれてくる。
それはきっとみんな同じで、そんなときに必要なのはきっとがむしゃらに自分だけで動くことじゃなくて、ほんの少し、0.5ミリ程度でもいいから、他人を信用してみることなんだろうなって本作を観て強く思った。
これからももっと辛いことがあると思うけど、そんなときは本作の副題である「死ぬまで生きよう、どうせだもん。」という言葉を思い出してみようと思う。
この言葉をサワさんから言ってもらってるって思うだけで、きっと少しは気持ちが楽になるはずだから。
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