11月8日、アメリカ大統領選挙

共和党候補であったドナルド・トランプ氏の勝利は世界中に大きな衝撃を与えました。ニューヨーク5番街やトランプタワー前をはじめ、各地でデモが起こるなど騒動が起きたものの、それも徐々に鎮火傾向。

すでに3週間が過ぎ、だんだんと彼を受け入れる準備を、それぞれが始めているような気もします。

「ひとりじゃないよ」不安を共有

とはいえ、民主党ヒラリー79% vs 共和党トランプ18%と圧倒的にヒラリー支持の多かったニューヨーク市民のショックは相当なもの。

そのストレスのはけ口として、地下鉄ユニオンスクエアの駅で、付箋にメッセージを書いて壁に貼るという「地下鉄セラピー」が話題を呼んでいます。

Leveeさん(@subwaytherapy)が投稿した写真 -

発案者はアーティストのマシュー・チャベスさん。

このインスタレーションを始めた9か月前は、個人のちょっとした秘密を付箋に綴って貼る、という場所でした。でも、選挙後は大きな意義を持ち始め、新政権に対する不安や希望を分かち合うためのシンボル的な場所に変化。

選挙の翌日からたくさんの人が書き込みを始め、あっという間に一大ムーブメントに。当初は、壁のタイルひとつにつき一枚と、整然と並んでいた付箋でしたが、いまでは多くが重なり合い、厚みを帯び、壁の面積を増やし、広告の上や構内のオブジェにまで波及し、日に日に増大していることがわかります。

移民、宗教、性別

20161130_ny_02.jpg地下鉄構内の壁を埋め尽くす、カラフルに散らばった付箋たち。一見まるでお花畑のように可憐に見えますが、一枚一枚の付箋には、強いメッセージが書かれています。

20161130_ny_03.jpg移民に対する傍若無人な物言いや女性蔑視発言が問題とされたトランプ氏。愛について再認識を求めるかのようにハートマークが描かれた付箋が目をひきます。

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「移民はいつでも歓迎!」

20161130_ny_05.jpg「ムスリムだけど、米軍に従事しました」

アメリカで軍人は敬うべき存在。それでも入国禁止なのでしょうか...。

20161130_ny_06.jpg「ヒラリー、ありがとう!」

20161130_ny_07.jpg「#StillWithHer」の付箋もところどころに。

黒人初の大統領であるオバマ、そして次は女性初の大統領としての期待も大きかったヒラリー。やはり彼女を支持するメッセージも多く貼られています。

20161130_ny_08.jpg「2020年の大統領選はミシェル・オバマに期待」と綴られた付箋も目立ちました。

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「ビバ、メキシコ!」

建てるなら、トランプの言うような壁ではなく、こんな壁が良いかも。

20161130_ny_10.jpg「みんな移民ですけど」

そう、最後はこれに尽きます。アメリカは移民で出来た自由の国。自由はどこに行ってしまうのでしょうか。

ニューヨーク州知事のアンドリュー・クォモ氏も駆けつけ、移民賛成のメッセージを投稿しました。

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投票日当日、私はテレビに映し出されるアメリカ地図が、刻々と共和党勝利の真っ赤に埋まっていく様子を、友人とLINEで会話しながら驚きとともに見ていました。

いちばんショックだったのは、自分と物差しが異なる人がこんなにもたくさんいて、アメリカではその人たちがマジョリティだという事実を突きつけられたこと。この国に住んで5年以上になりますが何も知らなかった、と実感しました。

QUARTZ, gothamist