「なんか隙がないんだよね」

「ぶっちゃけ、男とかいらないでしょ?」

「ひとりで生きていけそうだよね」

「女を悩ませるうんこテンプレ言葉ランキング」をつくったら間違いなく上位にランクインするであろう、この言葉たち。

数十年前の漫画にも書いてある古いテンプレであるにもかかわらず、21世紀のいまもまだ健在し、女たちを悩ませ続けています。

「隙がない=女として魅力がない」というダメ出し

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「婚活がなかなかうまくいかなくて、男友だちに相談したら、隙がないって言われちゃって...だから結婚できないのかな」

「バーで近くに座ったおじさんに、結婚願望を言ったら、でもひとりで生きていけそうに見えるよって言われちゃって...たしかに自立したいと思ってるけど、それだと結婚できないの?」

恋愛関係がうまくいかずに悩んでいるフェーズにいる女性たちにとって、このテンプレは魔物です。

なぜかといえば、この言葉が「男から見て、女として魅力がない」というダメ出しに聞こえるから。しかも「女として魅力がないのは、男にそう見えさせる自分が悪い」と思えてしまうから。

傷心の「女らしさ」アレルギーな女たち

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この言葉に傷つく女性たちは、仕事が大好きなバリキャリ、高学歴女子、帰国子女、自立マインドを健やかに育てられた女子校育ち、サバイバル能力が高い女性など、「男性を立てて一歩引き、男性に頼り、力のない存在として振る舞う」ことが苦手な人、自分はあまり"女らしくない"と自覚している人が多いです。

そういう女性が恋愛で悩んでいるとき、まわりの男性に「客観的な意見」を聞いてみたら「隙がない」「ひとりで生きていけそう」と言われ、「ああ、やっぱり自分は女として魅力がないんだ」「だから男性から選ばれないんだ」と自信を失っていく...という姿を、何回も見てきました。

「隙」をつくろうとして自己評価を下げていく

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そして悩んだ彼女たちが次に口にするのが「隙ってどうやってつくるの?」「私、本当に支え合えるパートナーが欲しいし、ひとりで生きていくつもりもないんだけど、どうすればいいの?」という切実な問い。

その問いに対する安易なソリューションは「男性が寄ってくる隙をつくる」こと、「男性に頼る女を演じる」こと。

何割かの女子は「隙」を「性的な隙」ととらえ、これまでの貞操観念を強引に捨てようとして性的なアピールをすることに邁進し、いざセックスオファーが来るようになると断りきれず、うっかり遊び人とワンナイトをしたり、不倫おじさんにはまったりと、本来の「婚活」「恋活」とは真逆の方向へ爆走し、「私はセックスだけでしか評価されない」とメキメキ自己評価を下げていきます。

また別のタイプの女子は、古生代から存在する「ホステスが教えるモテテク」といった「男性をたてる方向」に走りますが、性格に合っていないことがほとんどなので大体がうまくいきません。

彼女たちは「やっぱり合わない」「無理をしていてつらい」「ここまでしないと結婚できないの?」とぐったりして、「演じることができない自分はダメなんだ」「女として魅力がないんだ」とやっぱり自己評価を下げていきます。

「隙がない」って言われる。でも、結婚したい。

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「隙がないよね」「ひとりで生きていけそうだよね」という言葉を、男はじつに軽く言い、女はじつに重く受け止めます。

「隙がないから恋人ができない」

「男性を必要としていないように見えるから、男性から必要とされない」

「ひとりで生きていけそうに見えるから、パートナーが見つからない」

彼女たちは、自分の恋愛がうまくいかない理由について、うっすらと「自分は女らしくないから恋愛がうまくいかないのではないか、男性から選ばれないのではないか」という仮説を持っており、それを実際にまわりから言われると、「やっぱりね」とあきらめを含んだ納得をしながら、深く傷ついています。

でも「結婚したい」という希望を捨てきれない彼女たちは、「隙をつくればいいの?」「ひとりで生きていけなさそうって思わせればいいの?」と、自分のキャラクターに合わない行動をしようとしてうまくいかず、「やっぱり自分は女として魅力がない、だから選ばれないんだ」と自信を失っていきます。

無責任なうんこテンプレは流せ。真に受けるな

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私自身、10代後半から20代前半にかけてこのようなことを言われて真剣に悩み、本気で「隙とは何か」について試行錯誤したことがあります。

その結果わかったのは「このテンプレを使う人は何も考えていない」、よって「このテンプレを真に受けるべきではなく、ASAPトイレに流すべきである」ということ。

そもそも「隙がない」「ひとりで生きていけそう」という言葉は、信じられないほど適当です。

「隙がない」の「隙」の定義は何でしょうか? 忍者かアサシンが言う「隙」とは「命を取れる好機」のことであり、辞書では「つけ入る好機」のことを「隙」と定義していますが、男性から見た「隙」とは? 何に対するチャンスでしょうか?

「ひとりで生きていけそう」のスコープはどこからどこまででしょうか?

人間の人体は固体として独立・完結しており、すべての人類が「ひとりで生きていける身体機能」を持っています。

一方で、「人間は社会的動物である」という言葉どおり、私たちの生活は電気・水道といったインフラや教育、移動、食料を外部サービスに外注しており、だれもが「ひとりでは生きていけない」存在です。

「ひとりで生きていけそう」という言葉への答えは、イエスでもありノーでもあります。そんな曖昧で適当な言葉を真に受けて、傷つく必要がどこに?

これらのうんこテンプレを言われた女性が悩むのは当然で、なぜなら「何かを言っているようで、何も言っていない」からです。

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さらに、このような適当なテンプレを言ってくる人間もまた適当です。

実際、このような言葉を言ってくるのは、自分の内面をよく知らない「外野」が大半です。

それを生真面目な女性は「まわりの一般男性からの客観的な意見」と捉えて深刻に悩みますが、実際のところは「よく知らない人に相談されたからなんかそれっぽいことを言っとけばいーだろ」といった適当な答えであることが多いのではないでしょうか。

「隙がない」「ひとりで生きていけそう」という言葉がよく使われるのは「皆がよく使ってるから」「自分の好みや意見を言わずに、"君の問題だよ"とまるっとぶん投げれるし、責任を伴わないから」だと私は思います。

「君の顔、好みじゃないんだよね」「俺でもいけそうって思えないんだよね」「俺の優越感が満たされないんだよね」と正直にダメ出ししたら「何あの男サイテー!」と炎上必死ですが、「隙がなさそう」「男に興味なさそう」と「俺には君がこう見えるけど、それって君の問題だよね」と返せば、言われた側は「自分の問題なんだ」と受け取り、言った人間の評価は下がりません。

つまりは都合がいい言葉なのです。だから多くの人が軽く使う。

ならば、受け取る側も軽く受け止めよう。トイレに流そう。

考えれば考えるほど「隙がない」「ひとりで生きていけそう」という言葉は、「個人的な好みベースの、たいした考えがないダメ出し」に過ぎません。

「その言葉を放った本人から見たら恋愛対象ではない」以外のことは何も言っていないにもかかわらず、あまりにも多くの女性が傷ついてしまっていることを憂います。

自分のなかにある「自分は女として魅力がないんじゃないか」という仮説を立証する証言のように扱わないでほしい。そんな大層な言葉じゃないんだよ。全力で適当なんだよ。

反省すべきは「こんな適当なことを言ってくる人間に相談してしまった人選ミス」のみです。

もし言われたら速やかに女友だちを呼んで「相談相手の人選ミス」を笑い話にして、おいしいお酒を飲みましょう。

写真/出川光