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cafeglobeより転載)

憧れの老舗メゾン「クリスチャン・ディオール」。

そして、言わずと知れたこのメゾンに2012年デザイナーとして就任したのがラフ・シモンズ。男性ブランド出身でオートクチュールは未経験、知名度も高くないため「意外な人選」と言われ、世界の注目を浴びながら、彼の最初のコレクションまでの日々が始まりました。

「ディオールの宝」と呼ばれるお針子たちの活躍

そんなラフ・シモンズが、アトリエのお針子たちとともにコレクションの準備に追われる8週間を追った、ドキュメンタリー映画『ディオールと私』が公開されます

最初に彼が紹介されたのは、「ディオールの宝」と呼ばれる熟練された技術を持つお針子たち。なかには40年以上も勤務しているベテランも。彼らこそがラフ・シモンズが描いたイメージを、実際にドレスという形に創り上げるのです。

パリにあるディオール本社の最上階のアトリエで、途中まで作っては、シルエットや丈、色などを変更、そしてまた作る、そんな作業を黙々とこなし形にしていきます。

華やかな世界を支えているのは、熟練された技術職なのだということに改めて気づかされるシーンです。

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そして、インスピレーションを得るために、毎日美術館やギャラリーに通ってアートに触れる、というラフ・シモンズが、今回のコレクションでこだわったのが、現代アートの作家、スターリング・ルビーの絵画を、布地にプリントし、ドレスに仕立てるというもの。

技術的にもスケジュール的にも無理だと言われながらも、最後まで諦めなかったことで、美しいプリントが完成しました。

ふんわりと広がったスカートはまさにディオールの伝統であるエレガントなデザイン。そこに現代アートの要素を盛り込んだドレスは、ラフ・シモンズでなければ生み出せなかった作品です。

表舞台は大嫌い。一流デザイナーの意外な素顔

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見るからにシャイで寡黙なラフ・シモンズ。ベルギー出身でフランス語も流暢ではない彼は、当初、表舞台に出ることを頑なに拒みます。ショーのときにもカメラの前には立ちたくない、人前に出るのもインタビューを受けるのも嫌だと抵抗してプレス担当者を困らせていたのが印象的です。

そしてショーの当日。生花で埋め尽くされた会場のランウェイを歩くモデルたち。なかには、前日に修正が入り、お針子たちが徹夜で布地にビーズを縫い付け、当日の朝ようやく仕上がったドレスもありました。それまでの過程を見ているだけに、観ているこちらまでが感無量に......。

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その感動を1番味わっていたのは、ラフ・シモンズ本人。あれだけ表に出ることを嫌がっていた彼が最後にはうれしくも意外な行動に出ていました。

ディオールという老舗の伝統を背負い、その路線を引き継ぎつつオリジナリティを加えるという、自分に期待された役割を思えば、どんなに経験を積んだデザイナーでも、そのプレッシャーで押しつぶされそうになるはず。そのなかで力を出し切る彼の姿からは、仕事について学ぶことも多そうです。

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華やかなドレスが生み出される過程を見るだけでも十分に価値のある映画ですが、仕事に対する前向きな気持ちをもらえる作品だと思います。

ディオールと私
監督・製作:フレデリック・チェン
出演:ラフ・シモンズ、Diorアトリエ・スタッフほか
原題:Dior and I 
2015年3月14日(土)Bunkamura ル・シネマほか全国順次ロードショー
(c) CIM Productions 

(ミヤモトヒロミ)